真夏のパリの夜。初日を明日に迎えて総げいこをしているのはイタリアのトリノから来たバッサーノ一座で、演じるのはピランデッロの《あなたのお望みのまま》。主演女優のカミーユ(ジャンヌ・バリバール)は、芝居に身が入らない自分にいらついている。どうしてこうなのか。パリに3年ぶりに帰って来たせいか・・・。一座の座長で演出家で俳優、そして愛人のウーゴ(セルジオ・カステリット)が心配する。眠れないカミーユは、深夜の舞台でひとり、「ピエール!」とつぶやいてみる。
初日。カミーユは舞台で一瞬セリフを忘れ、ウーゴが即興で救う。この3年、イタリアでこんなことは1度もなかった。最後の幕まで調子は戻らない。カミーユはカーテン・コールにあらわれず、一座の仲間を心配させる。ウーゴは、ただでさえ、切符の売れゆきが悪いのであたまが痛いのだが。
ウーゴにはパリに来た密かな目的が別にあって、早朝から図書館に行くが、誰にも相手にしてもらえず混乱しているところを女子大生のドミニク(エレーヌ・ド・フージュロル)に助けてもらう。カミーユは決心してピエールの家を訪ねる。ピエールは外出中で、エレガントな女性ソニア(マリアンヌ・バスレール)が出迎えた。
ウーゴが探しているのは、17世紀のヴェネチアの劇作家ゴルドーニが晩年にパリで書いたと噂が伝えられている〈デスティーノ・ディ・ヴェネチア(ヴェネチアの運命)〉の草稿だ。出版も上演もされたことのないこの戯曲を初演できれば、ウーゴの一座は一気に全世界で有名になれる。ドミニクは、そうしたことに詳しい筆跡鑑定家がいると教えてくれた。
カミーユは公園に行く。日当たりのよいベンチで、3年前と変わらず、ドイツの新聞を読んでいるピエール(ジャック・ボナフェ)がいた。あいかわらず大学でハイデッガーの哲学を教え、ハイデッガーに関する論文はあいかわらず未完。今はソニアと暮らしている、それだけが変わった。ソニアは散歩から戻ったピエールに、〈彼女〉が訪ねてきたわよという。
カミーユはピエールに劇場への招待の手紙を書く。ウーゴは筆跡鑑定家(クロード・ベリ)をたずね、ゴルドーニのパリ時代の手紙から、当時ゴルドーニに資金援助をしていたヴェルネ家の子孫のデプレという夫人の名を知る。
カミーユの招待に応じてピエールがひとりで舞台を見に来た日、カミーユは舞台でようやく生き生きと演じられた。しかし、舞台がはねたあと、ピエールの訪問を待つカミーユの楽屋には誰も訪ねてこない。ピエールは劇場の外で待っていた。ひさしぶりのふたりきりの散歩で、ピエールはカミーユに、月曜の夜、自宅に夕食にくるように招待する。眠れずに待っていたウーゴは、しぶしぶ一緒に行くことに同意するが、イタリア男らしい嫉妬にかられ始める・・・・・・。
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