こんなに楽しい映画が本当にあのリヴェットの作品かと疑われ(?)、
でもまぎれもなくリヴェットならではの映画だと人々が驚き、
2001年カンヌ映画祭の最高の人気作品となったのが「恋ごころ」だ。

仏語原題は<ヴァ・サヴォワール>。
日常会話で時にしか使われないが、ニュアンスの豊かな言葉で、
<この夏、あなた、どういう予定?>というような問いに、
<ヴァ・サヴォワール(その時にならないとわからない)>と答える。
主演のジャンヌ・バリバールはバリバリの学者一家の生まれだが、
本人はいたって気さくな人柄で、
フランスでの人気はシャルロット・ゲンスブールなみ。
リヴェット映画にイタリア的な陽気な空気を
もたらしたのは「かぼちゃ大王」のカステリット。
不器用なおかしさにエキセントリックな影をにじませる哲学者ピエールは
ゴダールの「カルメンという名の女」のボナフェ。
カミーユに悪魔的に言いよるアルチュールは、
「パリでかくれんぼ」「愛する者よ、列車に乗れ」のトデスキーニ。
その異父妹に「ザ・ビーチ」「青い夢の女」やクラピッシュ映画で
おなじみのフージュロル。
<未知の女>に自分の影を発見するソニアには
ベルギーの演技派女優バスレール。
そして、監督のクロード・ベリが筆跡鑑定家で特別出演し、
「草の上の昼食」のルーヴェルが、
幻のゴルドーニの草稿の持ち主の夫人として登場する、
楽しさにあふれたキャスティングだ。
脚本はリヴェットを中心に、
『アンコール』で監督としてもデビューしたボニゼールと、
女優も監督もするローランが撮影現場につきっきりで
毎日書き進める(したがって俳優はたいへんな)<リヴェット・スタイル>。
ローランは演劇部分の衣装も担当し、
撮影のリュプチャンスキーをはじめとするリヴェットの常連スタッフを、
81年「北の橋」いらいリヴェット全作品を製作する
マルティーヌ・マリニャクがリードした。
©フランス映画社 本サイトの内容を無断で複製したり転載することはできません。 E-Mail:info@bowjapan.com