WHO'S WHO

エサ・デ・ケイロスフェルナンド・ペソアマカリオルイザ・ヴィラサマカリオの叔父フランシスコ
ルイザの母ヴィラサ夫人列車の夫人ルイス=ミゲル・シントラスタッフリスボン、アルガルヴ、カーボヴェルデ

●原作者 エサ・デ・ケイロス(1845-1900)

エッサ・デ・ケイロスとも表記される、ポルトガル文学での自然主義リアリズムの始祖で、エミール・ゾラに比べて称えられる19 世紀の文豪。膨大な著作が世界各国で出版されており、日本で<縛り首の丘>(白水社)、<アマーロス神父の罪>、<逝く夏>(彩流社)が刊行されている。スエズ運河開通時の20 才代の頃からジャーナリスト、作家、外交官として世界各地を旅し、特にパリにはポルトガル領事として晩年まで長く滞在した。この映画の原作<ブロンド少女の特異さ>は1873 年に無名で独身の頃に書いた短編小説。オリヴェイラが映画にしなければ注目されなかった原作ではなかろうか。オリヴェイラはこの映画で原作をベースにした部分では、デ・ケイロスが書いた言葉を一字一句忠実に尊重している。

●フェルナンド・ペソア(アルベルト・カエイロ)

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主人公マカリオがブロンド少女に接近するパーテイーで名優シントラ本人があらわれ、フェルナンド・ペソア(1888-1935)がアルベルト・カイエロの名で書いた<羊の番人>を朗誦する。
・・・ 男は私の目に涙を認め/満足げに微笑んだ/彼は思ったのだ 同じ憎しみや思いやりを 私が感じていると/だが 私は聞いていなかった/苦しみや 苦しみと思いこむことに何の意味がある?/私のような人間に 苦しみなどない/世界の不幸は 善意であれ 悪意であれ 他人を思うことから生じる/魂と天と地 それだけで充分だ/それ以上を望めば 魂や天や地を失い 不幸になる/男が語る間に 私が思っていたこと/私が感動し涙していたのは 実は 夕暮れに遠く聞こえてきた牛の鈴の音が/よくある 小さな礼拝堂に 花や小川や 私のような単純な魂が流れこむ そんな音とは 違っていたからなのだ/神よ 私は善人ではありません/私は花や小川と同じ 自然なエゴイストです/他者のことに構わず ひたすら咲いて ひたすら流れる・・・ (字幕より)。
ポルトガルを代表する詩人でありながら生前は殆ど無名だったペソアは、多くの異名で書いたことでも知られている。日本でも、<ペソア詩集 海外詩文庫 16>(思潮社)、<不安の書>(新思索社)、<不穏の書、断章>(思潮社)、<ペソアと歩くリスボン>(彩流社)、<ポルトガルの海 増補版>(彩流社)など出版が多くなっている。

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●マカリオ/リカルド・トレパ

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颯爽としてみずみずしい、マカリオのリカルド・トレパは、ときにオリヴェイラ監督本人にそっくりの表情で、監督ご本人の青年時代の相貌かと思わせる。リカルドは監督の娘アデライデ=マリアの息子で、監督の実の孫だ。
1972 年10 月28 日ポルト生まれ。「ノン、あるいは支配の空しい栄光」(90)に兵士のひとりとして映画初出演後、「アブラハム渓谷」(93)『パーティー』(96)、『不安』(98)に出演、『言葉とユートピア』(00)以後はオリヴェイラ監督の全長編に出演。いよいよの主役の「ブロンド少女は過激に美しく」、そして続く新作『(仮題)アンジェリカ』でも主役で、魅力を放って輝いている。

●ルイザ・ヴィラサ/カタリナ・ヴァレンシュタイン

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扇を手にマカリオを魅惑するブロンド少女役のカタリナ・ヴァレンシュタインはこの映画がデビュー作になる。1986 年ロンドン生まれ。ポルトガル人で両親は音楽家。カタリナも幼時からチェロと声楽を学んだ。18 才からテレビ・ドラマに出て、映画では端役出演が数作と、未公開の『UM AMOR DE PRDICAO』(08、オリヴェイラ監督の1978年『破滅の愛』と同じ原題、マリオ・バロッソ監督)しかない、謎の女優。

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●マカリオの叔父フランシスコ/ディオゴ・ドリア

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独特の長い顔、端然とした演技の名優ディオゴ・ドリアはレオノール・シルヴェイラ、シントラとともにオリヴェイラ映画のおなじみだ。『フランシスカ』(81)いらい、「アブラハム渓谷」(93)、「階段通りの人々」(94)、「世界の始まりへの旅」(97)、「家宝」(02)などをへて、「ブロンド少女は過激に美しく」はオリヴェイラ長編で13 本目の出演作。1953 年リスボン生まれで、75 年より演劇で俳優兼演出家として活動をはじめ、演劇と映画で精力的に活躍している。

●ルイザの母ヴィラサ夫人/ジュリア・ブイゼル

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オリヴェイラ映画では『繻子の靴』(85)いらい殆どの作品でスクリプターをつとめ、「家宝」(02)では脚本にも参加し、「アブラハム渓谷」(93)ほかでは端役で出演もという貴重な存在。1939 年生まれ、女優として60 年代に映画界入りした人だ。

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●列車の夫人/レオノール・シルヴェイラ

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誰にも話せない話は未知の人に話せ・・・。そんなマカリオの話をユーモラスに受ける夫人は、「アブラハム渓谷」(93)のエマ役で一躍世界の注目を浴びたレオノール・シルヴェイラ。1970 年リスボン生まれ。映画初出演は17 才でのオリヴェイラ監督『カニバイシュ』(88)。「アブラハム渓谷」以後、オリヴェイラ監督のミューズとして、「世界の始まりへの旅」(97)、「不安」(98)、「クレーヴの奥方」(99)、『言葉とユートピア』(00)、「家路」(01)、「わが幼少時代のポルト」(01)、「家宝」(02)、「永遠の語らい」(03)、「夜顔」(06)、「コロンブス 永遠の海」(08)。そして「ブロンド少女は過激に美しく」(09)では作品全体のバックボーンを優雅に支え、新作『(仮題)アンジェリカ』(10)に出演が続いている。

●ルイス=ミゲル・シントラ/本人

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ポルトガル演劇界の至宝、オリヴェイラ映画の名優。この映画でのペソアの詩の朗誦は、言葉の理解を超えて朗誦が感動を呼び起こしてしまう、奇跡の瞬間ではないだろうか。シントラは1949 年マドリード生まれ、ポルトガル人。68 年にリスボン演劇大学で在学中に演劇の活動を始め、映画でも71 年にモンテイロの初監督作での主演で活動開始。82 年にパオロ・ローシャ監督の日本・ポルトガル合作映画「恋の浮島」(82)でモラエス役で主演。オリヴェイラ映画とは83 年のドキュメンタリー『文化都市リスボン』での協力をへて、大作『繻子の靴』(85)で主演以後、「アブラハム渓谷」(93)、「階段通りの人々」(94)、「メフィストの誘い」(95)、「クレーヴの奥方」(99)、「家宝」(02)、「永遠(とわ)の語らい」(03)、「コロンブス 永遠の海」(08)ほか殆ど毎作出演し続け、オリヴェイラ長編で18作目となる「ブロンド少女は過激に美しく」(09)ではシントラ本人としての特別な登場。新作『(仮題)アンジェリカ』(10)でも健在ぶりを見せる

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●スタッフ

パリとリスボンに拠点をおく新進プロデューサーのフランソワ・ダルトマールが「コロンブス 永遠の海」(08)に続いて製作し、スペインから「シルビアのいる街で」のルイス・ミニャーロが合作参加、新作『(仮題)アンジェリカ』(10)の強力コンビでもある。撮影のサビーヌ・ランスラン(「家路」(01)、『第五帝国』(04)、「夜顔」(06)、「コロンブス 永遠の海」(08)、『(仮題)アンジェリカ』)をはじめ、美術のクリスチャン・マルティ(「夜顔」、「コロンブス 永遠の海」)、衣装のアデライデ=マリア・トレパ(『マジック・ミラー』、「コロンブス 永遠の海」、監督の娘でリカルドの母)、編集のオリヴェイラ自身と「階段通りの人々」(94)以降のスタッフであるカトリーヌ・クラソフスキー、サウンドはアンリ・マイコフ(「アブラハム渓谷」いらい殆ど全作品、『(仮題)アンジェリカ』も)、そしてヴィラサ夫人役で出演もしているジュリア・ブイゼルがスクリプターもつとめて、強力なスタッフ構成をしいている。

●リスボン、アルガルヴ、カーボヴェルデ

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リスボンからアルガルヴにむかう列車で、マカリオはブロンド少女ルイザと出会った衝撃的な体験を話す。アルガルヴはポルトガル西南の海辺にあって保養地として知られる。オリヴェイラは2008 年にアルガルヴ大学から名誉学士号を贈られている。ルイザへの恋の進展につれて、テージョ河に注ぐリスボンの丘の朝や夜の風景がすさまじい美しさで登場する。
ルイザとの結婚を叔父フランシスコに反対されてクビになったマカリオはカーボヴェルデに飛び、過酷な仕事で一財産を作ってリスボンに戻り、ルイザとの結婚の夢をとげようとする。カーボヴェルデは西アフリカのセネガルの西の海の諸島。1975 年に独立してカーボヴェルデ共和国となるまでポルトガル領だった。映画には登場せず、マカリオからルイザへの手紙であらわされる。

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マノエル・デ・オリヴェイラ 監督脚本作品 ブロンド少女は過激に美しく