



1908年12月11日ポルト生まれ。学生時代から映画(当時はサイレント)に熱中しつつ、スポーツも万能で棒高跳で優勝。その後レーシング・カーのレーサーになってアイドル的な人気も博す青春だった。映画を作った最初はドキュメンタリーでサイレントの『ドウロ河』で、初の長編劇映画は1942年の『アニキ・ボボ』。この間1940年にマリア=イザベルと結婚してレーサーを廃業。『アニキ・ボボ』は後にネオレアリズムの先駆と評価されたが興行的には大失敗し、以後14年は家業の葡萄園に専念。(とはいえ、2010年『(仮題)アンジェリカ』の脚本は1952年に書いている。)1956年『画家と都会』から映画に復活して60才を超えた71年『過去と現在』にはじまる<挫折した愛の4部作>を発表。70歳なかばを超えた85年からは、25年間殆ど毎年長編新作を発表する驚異的な活動が続いている。
| 『ドウロ河』DOURO, FAINA FLUVIAL(短編ドキュメンタリー、1931年無声版、1934年トーキー版)[映画祭上映] | |
| 『リスボンの彫刻』ESTATUAS DE LISBOA(未完成、ドキュメンタリー) 『白い炭』HULHA BRANCA(短編ドキュメンタリー) |
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| 『ポルトガルではもう車を作っている』JA SE FABRICAM AUTOMOVEIS EM PORTUGAL(短編ドキュメンタリー) 『ミラマール、バラ色の海岸』MIRAMAR, PRAIA DAS ROSAS(短編ドキュメンタリー) |
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| 『ファマリカン』FAMALICAO(短編ドキュメンタリー) | |
| 『アニキ・ボボ』ANIKI-BOBO [映画祭上映] | |
| 『画家と都会』O PINTOR E A CIDADE(短編ドキュメンタリー) | |
| 『心』O CORACAO(未完成、ドキュメンタリー) | |
| 『パン』O PAO(中編ドキュメンタリー) 『わが兄ジュリオの絵』AS PINTURAS DO MEU IRMAO JULIO(短編ドキュメンタリー) |
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| 『春の劇』ACTO DA PRIMAVERA [映画祭上映] 『狩り』A CACA(短編)[映画祭上映] |
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| 『過去と現在 昔の恋、今の恋』O PASSADO E O PRESENTE [映画祭上映] | |
| 『ベニルデあるいは聖母処女』BENILDE OU A VIRGEM-MAE | |
| 『破滅の愛』AMOR DE PERDICAO (TV版、劇場版) | |
| 『フランシスカ』FRANCISCA [映画祭上映] | |
| 『訪問—回想と告白』A VISITA-MEMORIAS E CONFISSOES(中編) 『文化都市 リスボン』 LISBOA CULTURAL(中編ドキュメンタリー)[映画祭上映] |
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| 『ニース、ジャン・ヴィゴについて』NICE・・・ A PROPOS DE JEAN VIGO(TVドキュメンタリー) | |
| 『繻子の靴』LE SOULIER DE SATIN / O SAPATO DE CETIM 『国際彫刻シンポジウム』SIMPOSIO INTERNACIONAL DE ESCULTURA(ドキュメンタリー、長男マノエル・カジミロと共同監督) |
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| 『私の場合』MON CAS / O MEU CASO | |
| 『国旗』A BANDEIRA NACIONAL(短編ドキュメンタリー) | |
| 『カニバイシュ』OS CANIBAIS [映画祭上映] | |
| 「ノン、あるいは支配の空しい栄光」NON OU A VA GLORIA DE MANDAR | |
| 『神曲』A DIVINA COMEDIA [映画祭上映] | |
| 『絶望の日』O DIA DO DESESPERO | |
| 「アブラハム渓谷」VALE ABRAAO | |
| 「階段通りの人々」A CAIXA | |
| 「メフィストの誘い」O CONVENTO | |
| 『パーティー』PARTY | |
| 「世界の始まりへの旅」VIAGEM AO PRINCIPIO DO MUNDO | |
| 『不安』INQUIETUDE[映画祭上映] | |
| 「クレーヴの奥方」LA LETTRE | |
| 『言葉とユートピア』PALAVRA E UTOPIA | |
| 「家路」JE RENTRE A LA MAISON 「わが幼少時代のポルト」 PORTO DA MINHA INFANCIA (中篇) |
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| 「家宝」O PRINCIPIO DA INCERTEZA 『MOMENT』(短編) |
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| 「永遠(とわ)の語らい」UM FILME FALADO | |
| 『第五帝国』O QUINTO IMPERIO-ONTEM COMO HOJE | |
| 『マジック・ミラー』 ESPELHO MAGICO 『可視から不可視へ』DO VISIVEL AO INVISIVEL(短編)[映画祭上映] |
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| 『O IMPROVAVEL NAO E IMPOSSIVEL』(短編) 「夜顔」BELLE TOUJOURS |
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| 「それぞれのシネマ」の一編「唯一の出会い」CHACUN SON CINEMA,“RENCONTRE UNIQUE” 「コロンブス 永遠の海」CRISTOVAO COLOMBO – O ENIGMA |
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| 『ROMANCE DE VILA DO CONDE』(短編) 『O VITRAL E A SANTA MORTA』(短編) |
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| 「ブロンド少女は過激に美しく」SINGULARIDADES DE UMA RAPARIGA LOURA 『サン・ヴィセンテの祭壇画』PAINEIS DE SAO VICENTE DE FORA,VISAO POETICA(短編) |
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| 『(仮題)アンジェリカ』O ESTRANHO CASO DE ANGELICA (2011年日本公開予定) |
太字は長編劇映画、『 』は日本で劇場未公開作品
[映画祭上映]は1993年秋<ポルトガル映画祭>ほか日本での映画祭で上映


A.P.(アントニオ・プレト)「ブロンド少女は過激に美しく」で、“世界の不幸は、人が他人を思んばかることから生じる”と誰かが言いますね。
オリヴェイラフェルナンド・ペソアの言葉です。そう考えることもできるでしょう。
けれども、そういう考えにしても、他のどんな考えにしても、だから正しいとか、いい考えだとかいうことにはなりません。というのは、この世界では、生きとし生けるものすべてがミステリーだからです。つまり、人間には絶対に知りえないミステリーです。問題はそれを信ずるか否かであって、信ずるというのは基本的なことです。それによってすべてのことが他のすべてのことに関係してくる。
もちろん、映画を作っているときにはそんなことを考えたり、哲学的な思索をしたりしていませんよ。でも、私が考えていることは表に出てくるのです。私はこの映画にはミステリアスな面があり、それは何よりもカーテンと扇を通して、人生の測りがたい秘密の中にある、ということを示していると思います。
A.P.(アントニオ・プレト)この作品の原作はエサ・デ・ケイロス(1845-1900)の短編小説ですね。
オリヴェイラエサ・デ・ケイロスはパリ駐在ポルトガル領事でした。彼は長い間パリに住んでいて、その間にゾラのリアリズム文学を知りました。彼がリアリズム文学を学び、ポルトガルに紹介したのです。
「ブロンド少女~」は私にとってリアリズム作家の小説を原作にした初めての映画です。これはとても興味深い体験でした。台本はロケハンをする前に書き上げてあったが、ロケ場所に行ってからずいぶん書き変えました。ということは、ロケ場所に従って映画を作ったということです。とにかく監督の仕事とは、そこにあるものをおのずから進展させることにあるのですが、それがうまくいかないと、とんでもないことになる。
A.P.(アントニオ・プレト)鐘の音が映画にアクセントづけをしていますね。
オリヴェイラ時を知らせる自動仕掛けの鐘の響きです。私は自動仕掛けの鐘が鳴るときを見るのが大好きです。
ブロンド少女が窓に現れるのが10時。そして最後には、いくつもの鐘がそれまでと違う響きで鳴りわたる…。
A.P.(アントニオ・プレト)列車の中でマカリオの話し相手になる女性を演じているのは、常連のレオノール・シルヴェイラですが、主人公のブロンド少女を演じているのはオリヴェイラ作品には珍しく常連俳優ではない、新顔のカタリナ・ヴァレンシュタインですね。
オリヴェイラ少女が他の人々と違っていたら面白いだろうと思ったのです。少女役には私の以前の映画に出ていない女優のほうがよいだろうと。事実、彼女が私の映画で初顔なことによって、役柄に真正さが出たと思います。別な言い方をすれば、どの俳優がどんな役を演じたというのでなく、彼女は彼女自身を演じているということです。彼女はそれほど映画に出演していなくて、それが好都合だった。
A.P.(アントニオ・プレト)あなた自身、これまでの作品と比べてこの最新作をどのように見ておられますか?
オリヴェイラ記憶です。記憶は私たちにとって基本的なものです。歴史とは記憶であり、過去とは記憶です。煎じ詰めれば、すべてが記憶ですよ。記憶を失えば、自分が誰であったかわからなくなり、自分が誰であるのか、なぜここにいるのか、何のためにいるのか、わからなくなります。自分がわかったとしても、何のためにいるのかわからなくなる。歴史というものに私は大いなる敬意を抱いています。
2009年1月24日、ポルトでのインタビュー。訳=齋藤敦子。
