アイスバーグ!

監督インタビュー

photoアベル&ゴードン

アベル&ゴードン 「ルンバ!」 インタビュー

フィリップ・マルツは「アイスバーグ!」のルネ船長、「ルンバ!」の自殺願望のジェラールと2作ともセリフなしの役ですが、彼は舞台のときにもセリフなしで演技を?

フィオナ

フィリップはバーニーと組んで日本にも何度も公演しに行ってるのよ。新作は、A WONDERFUL WORLD というタイトルで、クラシックであり独創的であって、素晴らしい道化師たちです。YouTube で抜粋が見られるはず。

ルンバ


「アイスバーグ!」から「ルンバ!」へ、2つの世界はがらりと変わるのに雰囲気はしっかりと同じです。意識してそう作られたのか、まるきり違うものを作ろうとしてもそうなったのか、どちらです?

ドム

なにも意識していません。ぼくらなりのやり方で、言おうとしていることを言ったまでで。ぼくらの舞台での演目を4つか5つ見ていただけたら、そうした違いはわかってもらえるでしょう。人生で言いたいことなんて1 万もあるわけはないですからね。情熱をかきたてられたり、感動することがあるのは、人間が弱いからこそで、倒れては起きあがり、失敗から立ち直ろうとする、そうしたエネルギーが共通しているのでしょう。

ルンバ

カメラを据えっぱなしで、舞台のような画づくりが顕著になっていますね。

photo短編時代2004年の撮影中の謎の瞬間。
ドムはフィオナになにしてるか?

ドム

「アイスバーグ!」には150くらいのワンシーン・ワンカットがあって、脚本を書いているときに特に意識してはいなかったのに、結果が自然にそうなっていた。演技する肉体を撮影したいという思いからでしょう。カメラは遠く置き、ワンシーン・ワンカットに。ところが編集してみると、途中でうまくいってない時もあって、そうなるとカットごと捨てざるをえなかった。なので、「ルンバ!」では、カット割りは「アイスバーグ!」よりも細かくなっています。

ルンバ



フィオナ

でも私たちにはワンシーン・ワンカットは合っているし大事だわ。

ルンバ

2作ともに物語の状況はドラマチックです。「アイスバーグ!」ではヒロインは自分のこれまでの人生を捨てるし、「ルンバ!」では自動車事故です。

ドム

笑いの底には常になにがしかの悲劇があるし、悲劇の度合いが過ぎれば笑いもなくなりますが、ぼくらの映画の場合は、スタイルからして、見る人はそれがウソだと知っていますからね。しかしそこで起きていることが大事であるからこそ、見る人は笑ってくれるのだと思います。肉体に重症が生じる物語のほうが、失業や食料危機を語るよりぼくらにはいいと思うし、映画の初期にはそういうメロドラマが多かった。

ルンバ


フィオナ

初期のチャップリンとか。キートンの場合は大きなカタストロフィーが起きて、その結果自体は描かず、メロドラマにしない。だからとても現代的だと思う。

ルンバ

「ルンバ!」はカップルの再会で終わるのですが、ハッピーエンドは大事ですか?

ドム

脚本の段階では、エンディングはいくつもあったのです。なるべく単純な方向に行きたいと思っていて、結果、二人は過去のすべてと切れて、もっとも大事なもの、愛にたどりつく。

ルンバ


フィオナ

ハッピーエンドにしたいとか、サッドエンドにしたいとか思うのではなく、この物語にふさわしいエンドを探すだけ。昔は映画はハッピーエンドで終わるときまっていたけど、今は脚本家たちはがんばってサッドエンドにするでしょう。だったら私たちはがんばってハッピーエンドに行くってとこかしら。

ルンバ

写真は、アベル&ゴードン手づくりのサイトより。
http://couragemonamour.net/courage/bio/bio.html
フランス語ONLY。レトロポップな彼らのテイスト全開の楽しいサイトです。 なんとルーレット形式で出てくるバイオグラフィ!
(CINELIBRE MAD 2008 年9 月17 日号、SPLIT SCREEN 2008 年夏号、LES INROCKUPTIBLES2008 年9 月15 日号、2010 年4 月柴田駿によるインタビューより構成)

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