RUMBA ルンバ!

監督インタビュー

photo長編第1作「アイスバーグ!」の撮影現場。
この真剣な雰囲気!

ドミニク・アベル、フィオナ・ゴードン「アイスバーグ!」インタビュー

ドムとフィオナ、お二人は、道化師出身の監督で主演者ですね。

ドム

道化師出身だったのではなく、今も道化師(クラウン)です。サーカスでの道化師ではありませんが、舞台や映画で道化師をやり、道化師として監督しているつもりです。

アイスバーグ!



フィオナ

ドムと同じです。それに、ブルーノも同じことを言うと思いますよ。

アイスバーグ!

子供の頃に見た映画で記憶に強く残っているのは?

フィオナ

子供の頃は映画館ではあまり見ていません。ディズニー映画くらいで、今でも強く残っているのは1本、「ファンタジア」。それにミュージカル映画で「メリー・ポピンズ」、「サウンド・オブ・ミュージック」、「ウエスト・サイド物語」が好きだった。子供の頃テレビではヴォードヴィル・コメディーをたくさん見ていて、マルクス・ブラザースの映画や、メイ・ウエストの映画、W.C.フィールズの映画が大好きでした。

アイスバーグ!


ドム

ぼくはガキの頃は映画館よりも冒険漫画が好きでエルジェのタンタンに夢中だった。映画はその頃はテレビで見て、チャップリン、ローレル&ハーディ、テックス・アヴリーはたくさん見てる。西部劇もヤマほど見た、そういう時代だけど、好きなのは喜劇やロマンティックな映画だった。

アイスバーグ!

お二人それぞれ、初めて道化師を見たのは?

フィオナ

私が初めて見てとても好きだったのはスイスの道化師ディミトリ。メークが濃くて、アクロバットが凄くて、言葉はいっさいなしなの。もう50才をすぎてたのに危険なジャンプ技をやり、楽器はなにからなにまで一人で演奏するし、舞台装置ナシ、セリフもナシ、音だけで凄かった。
パリのルコック先生について勉強したころは、すばらしい道化師たちがいっぱいいた。サーカスとかじゃなくて広い意味での道化師だけど。演技がエキセントリックで、特異な技、奇妙な技、体技がすごくて、独特な人間観を、時には痛切なまでに展開するのよ。アルゼンチンのカルロス・トラフィックとかチェコのボレク・ポリーフカとか。その後、サンクト・ペテルスブルグのリツェジェイが大好きになったし、それに、フィリップ・マルツとバーニー・コリンズの二人組<BP ZOOM>、アメリカのビル・アーウィン、イギリスのジョージ・カール、カタロニアのトリオ、エクセントリコス。みんな素晴らしい!

アイスバーグ!


ドム

まったく同意見。

アイスバーグ!

日本では道化師というと、狂言やシェークスピア劇といった歴史はともかく、一般的にはサーカスの道化師というイメージがあって、サーカスはもはやかつてのようにポピュラーでないのですが。

ドム

道化師(クラウン)はヨーロッパでも変化した。ぼくらが始めた頃には、もう昔のような道化師はいなかった。自分で道化師と名乗ることさえ、ぼくもフィオナも抵抗を感じたくらいでね。マクドナルドの前に立ってるプラスティックの人形のイメージだから。サーカスが道化師のよい舞台でなくなって、もう何十年もたっている。今はもっと派手でもっとスピーディな、大仕掛けな芸が仕事です。繊細さは求められず、チープな受けを狙わされる。 でもほんらいの道化師の、人間の悲しい面を笑いで見せる、それは生きのびている。ミュージック・ホールとか、演劇とか、映画に。道化師がいなくなったのではなくて、姿を変えて生きている。 ぼくらふたりは、舞台と映画を場としている道化師です。
ぼくらがインスピレーションを受けるのは、サイレント映画のバーレスク喜劇、ローレル&ハーディ、バスター・キートン、チャップリンで、ぼくらが言う道化師は広義の道化師と思ってもらえばいい。心のナイーブさと自己錯乱を表現する道化師。映画が誕生した頃の人々には道化師からやってきた人がいっぱいいて、大道芸の活き活きした精神を映画に持ちこんだ。肉体で表現するユーモアを、伝統的な言語を、喜劇のタイミングを、ニセモノがホンモノにすりかわる芸を、ギャグを、映画に注ぎこんだ。

アイスバーグ!

写真は、アベル&ゴードン手づくりのサイトより。
http://couragemonamour.net/courage/bio/bio.html
フランス語ONLY。レトロポップな彼らのテイスト全開の楽しいサイトです。 なんとルーレット形式で出てくるバイオグラフィ!
(2010 年4月、ブリュッセルで新作製作準備中のアベル&ゴードンと、電話およびメールによる。インタビュー=柴田 駿)

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