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愛と死、ドンデンがえしの人生が見たものは?
1963年頃、チェコスロヴァキアのプラハ。赤い星の共産主義体制の監獄から、ヤン・ジーチェが出所して、ドイツ国境ぞいのズデーテン山中にむかう。そこは廃村。住んでいるのはヤンのように処罰の余生を送るわずかな人だけ。“教授”と野性的な少女マルツェラもそうした人々だ。ヤンの住家となるのはかつてドイツ人が住んでいた廃屋で、窓のスミにビールのジョッキが・・・。
ヤンの一生は、ビールとともに生きる給仕の人生だった。青年の頃から、背丈は小さいが夢は大きかった。いつの日か、百万長者になって、ホテルのオーナーになろう、と。
田舎町のホテル<黄金のプラハ>のレストランの見習い給仕からはじめて、富豪たちのお忍びの別荘ホテル<チホタ荘>でウェイターに、そしてプラハの超一流の<ホテル・パリ>でウェイターから主任給仕になった。
幸運には不運が、不運には幸運が、いつもドンデン返しで待っていた。 そうしたときにユダヤ系の行商人ヴァルデン氏が、いつもヤンの急場を救ってくれた。ヴァルデン氏はヤンに、“お前は小さな男、小さな国の人間、それがお前の血だ。それを忘れなければ人生は美しくなる!”とスモール・イズ・ビユーティフルの教えを説いた。
ヤンは美女にもめぐまれた。田舎町では<楽園館>のヤルシュカに出会い、<チホタ荘>では女給仕人のヴァンダに、<ホテル・パリ>では謎の少女ユーリンカに魅せられた。
<ホテル・パリ>で給仕術の奥義を極めた名給仕長スクシーヴァネクと出会い、ヤンはめきめき腕をあげた。しかし客の注文を一瞬で察知する給仕長の神技にはとても勝てない。どうしてあなたはすべてお見通しなのか。給仕長はさらりと答える、“私は英国王に給仕した人間だから”と。
ある年、エチオピア皇帝が来国されて正餐会を催される晴れの場に<ホテル・パリ>が選ばれた。ヤンは気転をきかせて大活躍。皇帝はいたくご満悦で、給仕団の長であるスクシーヴァネク給仕長が勲章を拝受する段になったが、一瞬の偶然で、皇帝は勲章をヤンに与えられた。
時代は、1918年の建国から30年代前半の古きよき時代を経て、やがて1938年、ヒトラーがズデーテン侵攻を強行し、英仏伊独によるミュンヘン会談の決定によってチェコスロヴァキア共和国が建国から20年で解体し、やがて第二次世界大戦に突入する暗雲の日々にむかう。
そんなさなかに、ヤンはリーザに出会う。ズデーテンのドイツ人女性だ。ヤンは自分よりも小柄なリーザに真剣な愛をささげる。
ナチスに事実上占領されたプラハ。“英国王給仕人”の誇りも高く、ナチス将校への抵抗の姿勢をあらわにし続けるスクシーヴァネク給仕長はやがてゲシュタポに逮捕されて2度と戻らぬ身となる。
ヤンはさまざまな試練をくぐって、やがてリーザと晴れて結婚するが・・・。














