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名はアルチュールで姓はランボー。仏語まじりのチャランポランなラブレターを書き、覆面をしているくせに鏡を見るとおしゃれをせずにいられないアルチュールは、ゴダールの人物紹介によれば、≪著名な作家クノーが生んだ子供たちと同様、解釈などを要するメタファーとはまるで縁がない。ビリー・ザ・キッドであれ、シド・チャリシーであれ、彼はそこにある状況をそこに見えている外観どおりに信じる。……人生の神秘などどこにでも転がっている。ポルト・ド・ヴァンセンヌのカフェで、「巴里の屋根の下」であの7月14日(「巴里祭」)にアルベール・プレジャンとアナベラが失った時を見いだすために、3人で幻のマジソン・ダンスを踊る時にも、そんなものはどこかカウンターの裏あたりに転がっている、と彼は考える。一次元的な人間で、駅売りの大衆小説の人物なのだ。……この役にはクロード・ブラッスールがぴったりだった。彼は、子供がビー玉遊びや戦争ごっこをするときの無垢と狂気、粗暴さと十分な純真さを同時に備えている。……喜劇であれ悲劇であれ、人間の弱さが偉大であることを演じずにはいられない、稀な範疇の俳優なのだ。≫

クロード・ブラッスールは1936年6月15日パリ近郊ヌイイ=シュル=セーヌ生まれ。父は「天井桟敷の人々」(44、マルセル・カルネ)の名優ピエール・ブラッスール、母も女優のオデット・ジョワイユー。父ピエールは演劇界の偉大な俳優としても著名だが、ブラッスール家は1820年頃から、アルベール、ジョルジュとフランス演劇をになってきた大俳優の家系。コンセルヴァトワールでフレイと同じくルネ・シモンに学んで舞台デビューしたが、本人は演劇を続けながらも映画に魅せられて56年にカルネの「遥かなる国から来た男」で映画デビューし、ルノワールに「捕えられた伍長」(62)で主役に抜擢された。ゴダール作品には20年後の「ゴダールの探偵」と2度出演。主な日本公開作は、「顔のない眼」(59、ジョルジュ・フランジュ)、「新・七つの大罪」(エドゥアール・モリナロ篇「羨みの罪」)、「何がなんでも首ったけ」(61、ジャン・オーレル)、「激しい夜」(61、エドモン・T・グレヴィル)、「バナナの皮」(63、マルセル・オフュルス)、「私のように美しい娘」(72、フランソワ・トリュフォー)、「愛人関係」(74、ジョルジュ・ロートネル)、「銀行」(78、クリスチャン・ド・シャロンジュ)などがあり、近年は演劇に活躍の重点を移していて、映画は『俳優』(00、ベルトラン・ブリエ)ほかがあるが出演作は少ない。
 

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