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<おろかものの黄金>FOOL'S
GOLDはD・B・オルセンの筆名でも知られるドロレス・ヒチェンズ(1907-1973)が1958年に発表した推理小説。ニューヨークのダブルデイがクライム・クラブ・セレクションで出版し、フランスではガリマールがセリ・ノワール叢書で出版したがいずれも今は絶版。ゴダールはトリュフォーにすすめられて読んだが、仏訳の拙劣さからくるトーンが気に入って、その調子を自らの声で読んだナレーションにも生かしたという。そのナレーションにはランボーやボードレールの詩や、レイモン・クノーの小説が自然に入りこみ、随所にゴダール一流の引用があらわれる。なかでも、地下鉄の中でオディールが“深い、深い、深い悲しみ”とつぶやくシーンは「映画史」─1Aにも登場するほどで、アラゴンの<一人称のディスクール>をジャン・フェラがシャンソンにした<J'ENTENDS,
J'ENTENDS>をオディールが歌い、列車は<リベルテ>(ポール・エリュアールの詩の題名で「映画史」─1Aに登場)の駅を通過していくすばらしいシーンだ。この地下鉄シーンは、20年後のヴェンダースの「ベルリン・天使の詩」をおそらくだれにでも思わせる。
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